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(3)他の関連条項との関係
本「協定書」7.6条は、「見出し」について、『本「協定書」の見出しおよび小見出しは、それぞれの条項またはその下位項目の一部として解釈するものとする。』と規定している。本条は第4章「有効性・強制可能性」を構成する条項の一つであるから、本条の見出しは「有効性」となっているが、「強制可能性」を含むと考えられる。また、本条の規定は、これに続く「4.2条証拠」および「4.3条契約の成立」と併せて理解する必要がある。さらに、電子メッセージの「書面性」、「署名」、「原本」等が問題は、本条だけでなく、次条の証拠にも関連するので、一諸に検討することが大切である。
2.国際商取引にEDIを導入する場合の契約上の問題点
(1)契約の成立と効力
契約(Contract)とは、一般に、一定の法律効果の発生を目的とする二人以上の当事者の意思表示の合致により成立する法律行為である。その意思表示は、通常、申込と承諾のかたちであらわれる。契約が成立するためには、対立する当事者双方の意思俵示が客観的・主観的に合致することを要する。
契約の効力生ずるためには、その内容が法律行為一般におけると同様に、確定・可能・適法・社会的妥当という効力発生要件を具備していることを要する。わが国の民法は契約の効力と題して、双務契約の効力と第三者のためにする契約の効力について一般的規定を設けている(民法第533条以下)。契約は合意があれば成立するが、その内容が不能・不適法であるような場合には効力を生じない。
(2)「有効性・強制可能性」規定の必要性
契約の内容については、公序・良俗および強硬法規に反しない限り、当事者の意思に従って自由に決めることができる。国際的な売買取引においては、その取引の内容が特殊かつ複雑となること等から、取引をスムーズに進めるとか誤解や紛争を避けるために、契約成立後、直ちに売買当事者間で、売買契約の諸条件を記載した契約確認書(Confirmation of Sales)を作成する(書面で合意内容を確認する)ということが行われている。そして、このよにして作成される契約確認書には、各当事者を代表して、法的に有効な権限を有する者により署名または記名押印がなされる。
一般に、商取引に関する契約は当事者の合意により成立し、契約書の作成は契約の成立

 

 

 

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